代用するもの、しないもの

写真はタイのナスの一種(มะเขือเปราะ=マクアプロッ)です。実が締まっていて歯ごたえ良く生で辛いタレをつけて食べるのも美味しいですし、スープの具にもよく使います。典型的なのはグリーン・カレー。これを日本のナスで代用すると触感がかなり違いますが、夏になると在日タイ人が栽培したり、直売所でたまあに地物を見かけるようになったとはいえ、お店でたくさん使うには高価過ぎて、チェリーのグリーンカレーには、通常は日本のナスが入っています。つまりナスは代用品で諦めるかな、というところ。
 一方、代用できずに輸入品に頼っているものが何かというとหอมแดง(ホーム・デーン)というニンニクよりも小型の玉ねぎ。「ホーム」の意味は良い香りで「デーン」は赤ですから直訳すると「赤い香り」となります。名は体を表していて、これを日本の玉ねぎで代用すると料理が別物になってしまうんですね。でもこっちもとっても高コスト。普通の玉ねぎを使っているお店も多く、その気持ちは分かります。この間、野菜作りを趣味にしている方がいらして、この玉ねぎに興味をもって「ちょっと分けて」ということで2粒お持ちになりました。成功を祈っているところです。なお、赤い香りが活躍する料理の代表はลาบ(ラープ)という東北地方の郷土料理です。肉をたたいて細かくして炒ってから多彩な香辛料で和えるものでおつまみにぴったりです。  


2008年08月27日 Posted by namfon at 09:42Comments(5)食材の話題

1人用はぶっかけご飯

和食の店で定食を食べるたびに、うまくできてるなあ、と感心します。チマジマといろんなおかずがあって1人の食事にぴったり。夜だったら晩酌セットなんかがあって1人でも多彩に楽しめます。その点タイ料理は不便かもしれません。一皿の量が多いので1人では何品も食べられないし、お金もかかる。3人か4人になったらシェアして格安にいろいろ食べられるのですが…。それで日本のタイ料理店だと、何品か盛り合わせて味見ができるようにおひとり様用の工夫をしている所も多いようで、そういうリクエストも時々いただきます。でもバーン・チェリーでは相変わらずのタイスタイル。別に頑固なわけではなくて、単にタイ人がタイ人の発想でタイ料理を当たり前に提供しているということで、深い意味はないのです。でも、やはり料理の特性はあるかな、と思うこともあります。
 タイ料理は新鮮な材料で作ってすぐ食べるのが基本で、もちろん保存食もありますが、日本料理ほどではありません。和定食だったら漬物とか煮物は用意しておけるから、工夫次第で手間は合理化できると思いますが、タイ料理で定食にしようと思ったら…難しそうです。私がバンコク在住中に、日本人がタイ料理で日本の定食風ランチタイム定食を試みたことがありました。へえ、と思って行ったこともありますが、じきに閉店してしまいましたね。じゃあ、1人だとどうするか。多いのは写真のようなぶっかけご飯です。いつも1人旅の私はこういう食事ばかりですが、野菜も肉も海鮮も自由に選べるから飽きることはありません。これがクセになって、チェリーでも炒め物の残り汁をご飯にかけて食べている方、たまにいらっしゃいます。
   


2008年08月21日 Posted by namfon at 12:48Comments(0)タイの食べ物

唐辛子10本入りのバジル炒め

写真は甘いลำไย(ラムヤイ)ですが今回の話題はフルーツではなくて、辛味についてです。辛さは調節自由だということは再三お伝えしている通りなのですが、この自由が難しいことは言うまでもありません。「辛いの大好きだから辛~くして」と言われて、チェリーの基準で本気で辛くしたら手がつけられないことになったこともあり、難しいものだと思いました。反対に「辛いのは苦手」と日頃から言っている割には、何を出しても平気で食べる人がいて、それは自己認識にズレがあるでしょう、とおせっかいながら申し述べたくなります。
 つい先日のこと。「辛い料理で肉じゃないものを」と相談された方がいらっしゃいましたので、シーフードのยำ(ヤム)=酸味と辛味の強めの和え物をお勧めしました。満足気なご様子はなく、辛さが足りないよう。「もっと辛いのを」と言われたので、エビのバジル炒めをお勧めしてコックさんには「さっきのヤムは辛くないそうだから、遠慮しないでうんと辛くて大丈夫」と通しました。店内に唐辛子の匂いが漏れて咳き込む人も。見るからに辛そうなのができました。コックさんが「これを食べるのは日本人?」とびっくりしています。聞くと唐辛子を10本入れたそう。様子をうかがっていたら冷静に召し上がってらっしゃいました。タイの南部に行った時に唐辛子、それもタカノツメの中にちょっと肉があるようなのを出されて唇も胃も震えたことがありましたが、あれを再現したくなりました。タイ料理店としては、そういう方ですと、さらに作りがいがあるというもの。辛さのレベルについては、できれば唐辛子の本数でご注文いただけるといいんですが、でも唐辛子の種類によってレベルが違うので、それも難しいですね。そこまでお客様に求めるようなことはありませんのでご心配なく。  


2008年08月20日 Posted by namfon at 22:26Comments(0)バーン・チェリー

カボチャ入りタピオカのデザート

バーン・チェリー開店当初は用意していたデザート。日替わりで提供できたら楽しいだろうと試みたのですが、保存がきかないものですから今はグループでご予約いただいた場合にご希望でお作りしています。よく作るのがプチプチした感触のタピオカのお菓子ขนมสาคู(カノム・サークー)です。カノム=お菓子ですからメニューにこの言葉があったらお菓子と理解して下さい。タピオカはタイ語でサークーです。辛いタイ料理の後って甘味が欲しくなりますから、辛党の私もバンコクではたまにデザートを食べていました。種類は各種ありますが、路上でも市場でも気軽に注文できるのが写真のようなタイプ。タイですと、好きな具を2-3種類お皿に入れてもらってココナツミルクか砂糖汁かを好みでかけてもらって、好みで氷を入れたりします。具はコーンや豆や米やゼリーやタピオカや芋やカボチャなどいろいろ。
 写真はご予約いただてチェリーで作ったもので、季節の野菜カボチャを入れてみました。タピオカだけでもいいし、フルーツを入れてもいいですよ。春にはマンゴーを入れましたがほど良い酸味でなかなかでした。これ、作り方は簡単です。タピオカを透明になるまでゆでてから水洗いしてくっつかないようにします。チェリーのスタッフはタイ人なのでココナツが生でないのは大きな不満ですが、日本ではしょうがないから缶詰を利用。鍋にあけて煮て砂糖と塩で味付けしてタピオカにかけるだけ。温かいのもいいし冷やしてもいいです。小豆を入れても合いますね。
   


2008年08月13日 Posted by namfon at 20:45Comments(1)自分で作るタイ料理

タイにおける市場の位置

レストランの名前からみるタイ語その4です。千葉県のお店にタラートというのがありました。ตลาด(タラート)=市場で間違いないでしょう。日本語で「市場」でイメージするのは何でしょうか。株式市場の方が身近かもしれませんが、タイだと「いちば」の方の市場がまだまだ健在です。例えば日本だと、知らない町に行ったらまず電車の駅を探して、そこを基点に位置関係を考えたり、じゃあホテルはその辺が便利かな、飲み屋がたくさんあるかな、等イメージしていくと思いますが、タイだと市場がその役目を果たしています。
 地方都市でバスのターミナルがあったりタイスタイルのタクシーが待機しているのが市場。食料品から衣料品から雑貨から食堂から宝石店まで多種多彩なモノが集っていて、さらにバスもタクシーもあるのですから、ここさえ押さえておけば困ることはありません。よって、飛行機や電車で到着してホテルに直行してしまった場合にも、私はまずはその町のタラートに行ってみます。品揃えから町の特徴を想像できますし、美味しそうな屋台も並んでいますし不足の衣料を揃えることもできますし、お土産も買えますから。バンコクのような都市ではたくさんのタラートがあってどこを基点にするか難しいですが、小さな町だと中心になる一ヶ所に集中しています。ついでに株式市場はตลาดหุ้น(タラート・フン)。フンは株なので、市場+株。そのまんまです。  


2008年08月10日 Posted by namfon at 01:19Comments(0)タイのこと

豆下さい、身体下さい

昔昔、アメリカにホームステイしていた友達が帰国して、野菜でも何でも巨大だと驚いていたのを覚えていますが、タイで驚いたのは、何でも小さいことでした。きゅうりも白菜もナスもみんな小さい。でもインゲンは違います。長いです。50cmくらいあります。タイだと年中出回っていて、辛いタレをつけて生で食べたり辛目に炒めたり、ソムタムのようにたたいたり、辛い料理の付け合せにしたりで毎日のように食べていたものですが、日本で入手はムリと思っていたら松代のマリーさん、見事に栽培してくれました!→写真参照。正式名称はถั่วฝักยาว(トゥア・ファク・ヤーオ)。トゥア=豆、ファク=鞘、ヤーオ=長い。すなわち長サヤインゲン。
 バーン・チェリーで仕入れているのは目撃したのですが、どう料理するのかは謎。スタッフの賄い料理になってしまわないうちに興味のある方は注文してみて下さい。でも発音は気をつけて下さいね。トゥア=豆の部分は特に要注意です。カタカナ表記すると豆も身体もチケットも同じなんです。違うのは有気音か無気音かと声調。バンコク在住時に友人(男)が旅行会社に行って「チケット下さい」と言ったつもりが「身体下さい」と若い女性スタッフに向かって言って憤慨されたそうです。チェリーのスタッフでそれで怒る人はいないと思いますが、息を出してしっかり発音するのがコツです。なお、長インゲンが手に入らないと日本のインゲンを生食してます。多少生臭さが強い気はしますが同類の味です。  


2008年08月08日 Posted by namfon at 23:34Comments(0)食材の話題

夏野菜のシーズンです

長野ってタイ人が結構多いのです。県の外国人登録人口を見ていただけると分かりますが、地方都市の割には多い方。たいていが日本人と結婚している人ですね。ということは…。長野ですから配偶者はたいてい畑があります。プラス、長野在住タイ人は農村出身者が多い。イコールタイの野菜を作る、というわけで、夏はバーン・チェリーにとっては嬉しい季節です。夜になると自分で栽培した野菜を売りにタイ人たちが訪れます。新鮮なパクブン(空心菜)、パカナ、タイのナス、タイのインゲンの地場物が続々と。パクチーはもちろん。
 写真はパカナ炒めご飯ですが、このパカナも松代のマリーさんの畑が産地。中にはプランターで育てて売りに来る人もいて、チェリーのスタッフは「農薬使ってないから安全」と言っていますが、ただし、時によって太さも味もマチマチなんですね。でもこのマリーさんは、スーパーのお惣菜のアルバイトの傍ら、かなり本格的な農業を営んでいて味も良し。ご主人は日本でタイ米が作れないかと模索して、諦めたみたいですけど。実はチェリー農場を営んでそれをレストランで提供したいと当初から考えているんですが、とてもじゃないが今のところはムリ。でもタイ人ネットワークからの供給でかなりまかなえているみたいです。作り手と食べる人を結ぶのも役目。たまにフリーペーパー等で取材にいらっしゃる方が「食材はタイから空輸」などと書いて下さって、確かに日本で入手できないものはしょうがないですが、地元で入手可能なら当然地元優先です。唐辛子とニンニクを効かせた夏野菜、お勧めです!  


2008年08月07日 Posted by namfon at 23:13Comments(0)食材の話題

タイスキをなつかしんで1人用

今週土曜日(9日)の朝9時半~のabnの番組の中でバーン・チェリーが出るそうです。撮影の様子をコックさんに聞いたら「ソムタムにタイ人だったら唐辛子をいくつ入れるかと言われたから、9個か10個で作って食べたらびっくりされた」とか。タイ人だったら皆が9個も10個も唐辛子入れるってわけじゃありませんけどコックさんもなかなか役者…?。ちなみにチェリーでは「辛くしないで」で1個。フツウで2個か3個ってところです。いずれにしろタイ料理はお仕着せではなくて、食べる人の好みに合わせて作り、最後のキメは調味料セットから自分でご自由に味付けして下さい、という発想なので、何か足すことをお店への冒涜であるなんて思っていただく必要は全くありません。
 今回の写真はสุกี้(スキー)です。滑る方じゃなくて、日本のスキヤキのスキらしいのですが、似ていません。通常「タイスキ」というと日本で言うところの鍋なのですが、それを簡略化して1人で食べられる1品にしたのがこれで、バンコクではランチによく食べました。たくさんの野菜とはるさめが入って適度にお腹は膨れてヘルシー。メニューにはないのですが、スープもので重たくなくて、軽すぎず、という時にお勧めすると気に入って下さる方が多いです。飲んだ後にもいいですね。辛目のタレをお好みで入れてどうぞ。冬にフルバージョンのタイスキをメニューに加えて卓上ガスまで用意したことがあるのですが失敗でした。お客さんが多くないと材料の種類が多くて無駄になってやり切れません。素材が豊富で必ず自分の好みがあるタイスキ、なつかしいです。  


2008年08月06日 Posted by namfon at 10:40Comments(0)バーン・チェリー

星卵を載せていただくバジル炒めご飯

始めてしまったからには2個というわけにもいかず、タイレストランの店名から覚えるタイ語解説です。どれにしようかなとガイドブックをめくっていたら「ダオタイ」というのがありました。タイ語表記がないけど多分ดาวไทยに違いない。素直にカタカナにするとダーオ・タイで、ダーオが星で、それにタイ国のタイで、つまりタイの星、タイのスターです。ダーオは女の人の名前にもよくあります。料理と関係する星といえばไข่ดาว(カイ・ダーオ)ですね。カイは卵だから星卵、日本風に言うと目玉焼きです。
 目玉焼きというネーミングも傑作だと思いますが、星卵も星4つくらいあげたい情緒がたっぷりです。写真はバーン・チェリーのメニューで鶏肉のバジル炒めご飯に星卵を載せたもの。バンコクにいる時はランチにしょっちゅう食べていました。バジル炒めは結構辛目なので、それが星卵で和らいでコクがでて一層美味しいんです。食欲なくてもこれなら食べられました。鶏肉じゃなくて豚にしたりイカにしたりエビにしたりも自由。この星卵は油の中に落とすので日本風に言うと揚げ卵ですかね。黄色の目玉部分が白くなるのでどっちかっていうと星というよりも、朧月夜のお月様みたいにも思えます。
  


2008年08月03日 Posted by namfon at 18:41Comments(2)タイ料理の話