和食風盛り付けがバンコクの最先端?

 「タイ料理は日本の定食のようなセットにはせず、中華料理のように取り分けるのが普通です」と何かにつけて説明してまいりましたが、訂正すべき時がくるかもしれません。今回の旅で写真のようなセットを見た時は驚きました。バンコクの超高級デパートの地下レストランコーナーにて。まずご飯茶碗が和風です。タイではご飯はお皿盛りが普通。次にセット内容が一昔前なら考えられないものです。ソムタム(パパイヤのサラダ)、ガイヤーン(焼き鳥)、もち米という典型的な東北地方の郷土料理は、田舎料理と見下されているようなところもあって、こんなおしゃれな盛り付けとは縁遠かったはずですから。一緒に行った友人はバンコクと東京間を年に何回か行き来しているのに、2年半ぶりの私と一緒になってびっくりしていましたので、きっとごく最近の傾向なのだと思われます。
 お値段も、バンコクの労働者の1日の最低賃金と同じくらい、ということは日本だと数千円に匹敵するわけですね。これでビール1本加えたら、このデパート建設にたずさわった労働者の1日の報酬を超えるんじゃないでしょうか。味の方はかなりマイルドでした。タイでだったら、甘くするな、酸っぱくして、辛くして、等々、いつもだと注文つけ放題なのに、店の気取った雰囲気に圧倒されて忘れて何の注文もつけずじまい。「美味しかったですか」と店員さんに聞かれた時も「ちょっと甘すぎね~」と答えておきました。こういうセットを見るとライフスタイルや意識の変化を感じます。1人で食事をする人が増えたのだろうか、取り分けスタイルが不潔に感じる人が増えたんだろうか等と。そして大きいのは日本料理の影響でしょう。バンコクは日本食レストランだらけ!合理的な盛り付けをまねても不思議はないです。まだこれが主流になっているわけでもなさそうなので、一応知識としては踏まえた上で、やっぱり「ひとりでも楽しんでいただけますが、やはりタイ料理の場合は、3人くらいだといろいろ召し上がれて安上がりですよ」とお伝えすることにしましょう。  


2009年05月19日 Posted by namfon at 11:06Comments(0)タイのこと

お坊さんに差し上げるもの

 更新が滞り気味なのにアクセスしてくださる方がいらっしゃるとはありがとうございます。実は写真を載せるのが億劫なのが停滞の一因でして、何かないかな、と探していたら2年前にタイに行った時のがありました。残念ながら観光ではなくて悲しい旅でした。知り合いのタイ人男性が仕事中の事故で突然亡くなってしまい、故郷のご両親にお骨の一部を届ける奥さまと会社の方々に同伴して、事情説明の通訳をするという役目でした。気の重たい役目でしたが、先方の家族も親族もいい方々で、また日本の会社の対応も誠実で、なんとか無事に果たすことができたのでした。この写真は、自宅で執り行われたお葬式に呼んだお坊さん方に差し上げる品々一式です。こちらのお宅では、近所の女性たちが集って竹かごにバナナの葉を巻いて品物を詰めていく手作りで珍しくて写真を撮りました。それまで私が見ていたのは、店頭でよく売られている黄色のプラスチックバケツに入ったセットでしたから。
 この時の弔いの儀式は衝撃的でした。生前、彼が日本人の奥さまに「死んだら花火になって天に行くんだ」と言っていたそうですが、本当にそのままだったからです。法要などいくつかの儀式を経て、最後に骨を叩いて砕き、それを火薬と混ぜてお坊さんが導火線に点火。パンパンパンという爆音と共にお骨は煙になって空に散りました。「花火になる」なんて冗談としか思っていなかった奥さまもこのシーンを見て生前の言葉に納得のようでした。あれからもうじき2年です。タイの家族は日本語ができず、日本の奥さまもお子さんもタイ語はできない。たった1人の孫の声を聞きたくて電話しても話すことができないご両親。お元気でいらっしゃるといいのですが。  


2008年11月02日 Posted by namfon at 22:32Comments(0)タイのこと

政治はいずこも不透明

首相の退陣を求めて大規模デモのタイ。デモもないのに辞任の日本。なんだかどっちもどっちのような気がしないでもありませんが、治安上の問題が大きいのは前者のようで、タイ旅行は大丈夫か、という問合せをいただいたりもしています。私に聞かれても分かりませんので、あくまで経験上からの推察のみですけど、旅行者が直接この件で危険にさらされるようなことはないように感じます。私が滞在中に1度クーデターがありました。アルバイトが終わって遅い時間に戻る時、やけに道路が空いていると思ったらクーデターということが翌日に分かりました。
 軍がデモの人々に発砲して死傷者が出た1992年の事件の時は、ちょうどテレビを修理中で状況が分からず、修理店にテレビを取りに行く時にいつもの混雑がなくて不気味でした。急いでテレビをつけましたが報道統制されてました。それで様子を見に行きたいと言って周囲の大反対にあいました。ちょうど日本への一時帰国のチケットを買ってあったのですが、そんな時に飛行機に乗るのは気が進まずキャンセルしようと問い合せたらキャンセル料が高額なんですね。それでもう開き直って乗ったらガラガラで快適快適。横になって寝ちゃいました。機内で観光客が「観光どころじゃなかった」と文句を言っていました。ただ大きな流血の騒ぎはあれ以降ありません。とはいえ、今回も観光は大打撃を受けているそうです。観光立国であることを思うと、行ってあげて下さいと言いたい気もしますが、そこまで言い切れないしで、ご判断はお任せってことにしときましょう。  


2008年09月07日 Posted by namfon at 23:03Comments(2)タイのこと

タイにおける市場の位置

レストランの名前からみるタイ語その4です。千葉県のお店にタラートというのがありました。ตลาด(タラート)=市場で間違いないでしょう。日本語で「市場」でイメージするのは何でしょうか。株式市場の方が身近かもしれませんが、タイだと「いちば」の方の市場がまだまだ健在です。例えば日本だと、知らない町に行ったらまず電車の駅を探して、そこを基点に位置関係を考えたり、じゃあホテルはその辺が便利かな、飲み屋がたくさんあるかな、等イメージしていくと思いますが、タイだと市場がその役目を果たしています。
 地方都市でバスのターミナルがあったりタイスタイルのタクシーが待機しているのが市場。食料品から衣料品から雑貨から食堂から宝石店まで多種多彩なモノが集っていて、さらにバスもタクシーもあるのですから、ここさえ押さえておけば困ることはありません。よって、飛行機や電車で到着してホテルに直行してしまった場合にも、私はまずはその町のタラートに行ってみます。品揃えから町の特徴を想像できますし、美味しそうな屋台も並んでいますし不足の衣料を揃えることもできますし、お土産も買えますから。バンコクのような都市ではたくさんのタラートがあってどこを基点にするか難しいですが、小さな町だと中心になる一ヶ所に集中しています。ついでに株式市場はตลาดหุ้น(タラート・フン)。フンは株なので、市場+株。そのまんまです。  


2008年08月10日 Posted by namfon at 01:19Comments(0)タイのこと

弁当とピントー

アジアンショップや雑貨屋で見かけるようになったタイ製ステンレスの重ねるタイプの持ち運び用容器。タイ語でも弁当に近い発音でปินโต(ピントー)と言います。ただ日本語で「弁当」は中身が入っていてこそですが、タイ語ですとこの容器そのものを指しますから、空っぽでもピントー。弁当と弁当箱を兼ねたのがピントーです。日本の弁当が語源という説もあるそうですが、沖縄語のビントーからじゃないかという説もあるようです。じゃあタイでこの形のピントーが一般的に使われているかというと、バンコクの会社員がこれを持ってバスに乗っている姿なんて見たことないです。どこでも食堂があって気楽に食べられますからね。
 ただ、タイの庶民の家やアパートはキッチンがない場合が多いですし、料理している時間のない人もバンコクでは多いですから外食と共に持ち帰りも盛ん。ไส่ถุง(サイ・トゥン=袋に入れて)と注文したらスープでもおかずでもご飯でも麺でも何でもビニール袋に入れてもらえます。写真はバーン・チェリーのお持ち帰り用トムヤムクンですが、こんな具合。でも実は、テイクアウトご希望の方は、ゴミ減量のためピントーをご持参いただけるとありがたいです。こちら、スープもこぼれない優れモノです。もちろんタッパーでもいいんですけど。
  


2008年07月31日 Posted by namfon at 21:49Comments(5)タイのこと

赤い表紙のタイレストランガイド

『タイレストランガイド』という本がバーン・チェリーに置いてありました。真っ赤な表紙に文字だけのシンプルなデザインも変形版もなかなかおしゃれです。チェリーでも定期購入しているタイ語新聞「ワイワイタイランド」の発行。写真入りで詳しく紹介されているのは東京のタイレストランだけですが、巻末に全国のレストランの紹介があって、長野県は14店と大奮闘。もちろんチェリーもありますよ。私が行ったことのあるのは松本市のケーラン、長野市のアロイ食堂、諏訪市のトウクトウクですが、こんなたっぷりの情報量のガイドがタイ人関連の会社から出る時代になっているんのだと感慨深いです。
 こういう本って料理を見るのも楽しいですが、店名を見るのも楽しいです。日本語の感覚と違いますし、意味は何かと興味を持ちませんか。そこでちょっと解説です。割とよくあるのが「イサーン食堂」。この本では「イーサン食堂」というのがあって表記的にはちょっと疑問(タイ語表記ないので不明もあり)なんですがอีสาน(イサーン)はタイ東北地方の俗称です。信州に在住しているタイ人はイサーン出身者が結構多く、チェリーのスタッフもオーナーとアルバイトさんがイサーンでコックさんは北部です。地方によって料理に特徴があってイサーン料理というのは田舎料理というニュアンスもありますが、広く認知されています。タイは都市と地方の格差が大変大きく、イサーンの村からバンコクやプーケットへの出稼ぎに大勢流れます。そこの労働者向けに屋台を営むのもイサーンの人。そんな背景もあるのです。いくつか店名解説しようと思ったら長くなってしまったので改めて後日。この本ご覧になりたい方はチェリーでどうぞ。
  


2008年07月26日 Posted by namfon at 13:56Comments(2)タイのこと

フードセンターはタイ初心者の強い味方

外出が多くて2日もご無沙汰してしまいました。ネタはいくらでもあるのでがんばって書いてまいります。長野にもあったらいいのにと思う食のスタイルがこの、少々見苦しくて失礼な写真のフードセンターです。タイだったらどこにでもあるもの。写真は2年前の、タイ第二の都市である北部のチェンマイのナイトバザールの食堂です。小さなキッチンと、ショーケースを兼ねた食品保存スペースがあって、客の注文に応じて1人か2人がその場でチャチャっと作ってくれます。何が便利かというと、タイ語ができなくても食べられることと、多種多彩なのでグループで行っても各人が自分の好きなものを選べることです。タイ語ができるようになる前は、バンコクで私も頻繁に利用していましたし、このチェンマイ旅行の時も何度も通いました。
 まずはクーポンを購入します。金額は自由。1人で普通に食べるなら50バーツ(150円)でも大丈夫です。飲み物も欲しいならそれ相応にプラスして下さい。豪華にいきたいならいくらでもご自由に。後で払い戻しができますから多めに購入してもไม่มีปัญหา(マイミー パンハー)=問題ありません。クーポンを持ってブースを片っ端からのぞきます。麺の店、ご飯にかけるおかずが多種類の店、肉類が充実した店、菜食主義者の店、イスラム教徒用の店、東北地方料理の店、日本料理の店、ベトナム料理の店、デザートの店等々いろいろありますから、好みのを指差しで注文してクーポンで払います。サササと目の前で作ってくれるのを見る楽しみが済んだらテーブルに運んでいただきます。ヒイキにしていた美味しい屋台が路上から消えると「あの店、ショッピングセンターの中のフードセンターに入って評判みたいよ」なんて噂も流れていました。安くて新鮮で美味しい。食については豊かさを感じるタイです。
  


2008年07月15日 Posted by namfon at 00:51Comments(2)タイのこと

バンコク暮らしの頻出語




 タイ語は文法が難しくないので、ちょこちょこと単語を覚えていけば旅行の時にも役立つと思います。今はBTSという高架鉄道も地下鉄も、距離は長くないとはいえ一応中心街を走っていますからダウンタウンを移動するには便利になっていますが、私が在住当時はどっちもありませんでした。つまり運河のボートという一部で可能な選択を除いては、ひたすら道路を使うしかない。極度に徒歩を嫌う人々の600万人都市で、バスだろうが車であろうがタクシーだろうがバイクタクシーだろうが乗り合いトラックだろうが何だろうが、みんな道路に繰り出すのですからすさまじい渋滞でして「世界一巨大な駐車場」と不名誉な冠をいただいても誰も文句を言えるはずありません。この渋滞をタイ語ではรถติด(ロッティッ)と言います。ロッが車でティッは「くっつく」。渋滞の様子をそのまんま言葉にしたらコレです。ロッは上に上がる調子で、ティッは逆に下る調子で発音すると通じやすいです。難しくないので覚えておくといろいろに使えますよ。
 お客さんと待ち合わせしているが課題をやっておくのが間に合わない。ええい、遅刻してしまおう。言い訳はもちろん「ロッティッ」のひと言。やましさを感じたら、その前にขอโทษ(コートーッ=ごめん)をつければもっといいです。こんな意図的な行為じゃなくてもやむを得ぬ渋滞で遅刻は日常茶飯ですから、そんなんでイライラしていたら仕事になりません。約束は午前に1件、午後に1件がいいところ。日本から来た友達とホテルで待ち合わせして楽しみにタクシーで向かったのに結局会えずじまいということもありました。渋滞で止まったまま行き着かなかったからです。でも久方ぶりにバンコクに行って地下鉄を使ったら、そんな当時の渋滞が嘘っぽく感じましたから今はビジネスも効率的になっている…かも…?
  


2008年07月10日 Posted by namfon at 14:10Comments(0)タイのこと