タイ料理の4区分

 一口にタイ料理と言っても多彩であるのは、日本料理が作り手によっても地域によってもいろいろあるのと同じです。ただタイ料理の場合には一般的に使われる区分があって、それは地域別の4つ。バンコクとその周辺の中部料理、チェンマイを含むラオスとミャンマーに接する北部料理、ラオスとカンボジアに接する東北料理、そしてプーケットなど海岸線が続いてマレーシアに接する南部料理です。流通が発達して地方色が失われ、その行き過ぎもあって地産地消が意識的に奨励されるようになっている感のある日本ですが、タイの場合は、まだまだ自然の地産地消が生きているゆえの4つの区分でしょう。
 タイの書店でまさに「4つの地方料理」という本を見つけたので買ってきました。「タイ人は身近で入手できる食材を使うので地方色が豊か」から始まります。北部は海から一番遠いので海魚は使いません。あまり辛みは強くなく、野菜の自然の甘みを利用する。東北地方は川魚や昆虫色も盛んなので匂い消しの意味もあって香草や唐辛子を多用。南部はシーフードを使って辛みが強め。中部は海もあって穀物地帯でもあり食材が豊富で料理も多彩。そんな特徴を頭の隅においてタイ料理店のメニューを見てみると、その店の方針というか得意分野が想像できて、楽しみも一段アップすると思います。ちなみに写真は分類したら中部料理のゲーン・リエン。魚のダシでショウガ味の効いた野菜と香草たっぷりのスープ。日本では作りにくいのが残念です。  


2009年06月14日 Posted by namfon at 14:06Comments(0)タイ料理の話

日本人はカレー味がお好き?

 写真はタイ北部の中心都市で観光地としても有名なチェンマイの名物料理「カーオ・ソーイ」です。タイ在住時に何度かチェンマイに行ったのですが、実は食べたことがありませんでした。カレーのスープに揚げた麺が入っている、というイメージから食欲を刺激されなかったからです。カーオ・ソーイについてよく耳にするようになったのは、逆に日本に戻ってからです。前回チェンマイに行った時も「だったらカーオ・ソーイ食べてね」と日本人の友人に言われました。そこまで有名だったら、と思って挑戦してみたのですが、そう魅力を感じませんでした。ただ、その時のレストランは外国人の集まるスポットにあるもので、私の経験ではそういう所は当たり障りがないというか半端な味に感じていますので、今回の旅で再度挑戦しました。
 日本のカフェにもありそうな白い器。ココナツミルクの入ったカレースープに揚げた麺ですから、薬味を入れてライムを搾ってもやはりちょっとしつこい感じです。辛みも足りない。若い人にはいいのかもしれませんが、しばらくお腹が重たくなりました。日本語のタイ料理本を見ていたら「私の知っている日本人でカーオ・ソーイを嫌いな人はいません」というタイ人の著者のコメントが…。カレー味は確かに日本人には人気がありました。シーフードレストランだと「カニのカレー炒め」が代表。これはバーン・チェリーにもあって、ボリューム満点なので数人のグループだったら特にお勧めです。カニをエビに変えることもできます。  


2009年06月08日 Posted by namfon at 20:18Comments(0)タイ料理の話

フレッシュなジュース屋がどこにでも

 日本では喉が渇くと自動販売機にお金を入れる、みたいな習慣が定着しているようにみえますが、タイでは自動販売機はありません。自動販売機があると「泥棒の格好のターゲットになる」といわれています。余談ですがパチンコも許可されておらず、ありません。パチンコがあったら「みんな入り浸って働かなくなる」といわれています。ドリンクに戻って、それではどうするかというと、写真のようにします。この間の旅の最中、米工場とソースの製造工場を見学するため、友人と、その友人の夫の運転する車でバンコクから東に向かっていた時のもの。道路沿いに砂糖キビをしぼりながら売っているスタンドがあったので「飲みたい」と言ったら車を止めてくれました。このようなドライブスルー+人情味加味、のスタンドがたくさんあるので、ドライブ中での飲食に困ることはそうありません。
 タイ人は運転席から出て行くこともまずしませんから、窓をあけて「2本ちょうだい」と大声で注文。ところが何度言っても、聞こえないようで3本渡そうとします。ま、いいかで受け取りました。たったの10バーツですからね。氷の中に入れて冷やしてあるので自然の味そのままでとっても美味しい。砂糖キビジュースは甘いのですが、本州ではまず生の搾り立てを飲むなんてことはできないので、タイに行くと1度は飲みます。暑いなあ、と思いながらバスを待っているバス停の脇にもよくあって便利。ただ今回の旅で感じた変化は販売員の高齢化です。少子高齢化はタイでも急速に進んでいるのは感じてましたが、こんなところにも。日本でも自動販売機を減らして、人的対面販売を普及させたら失業対策の一助になると思うのですが、保健衛生上の規制が厳しいからトラックの移動販売がいいところですね。
 
   


2009年06月07日 Posted by namfon at 11:21Comments(0)タイの食べ物

タイ風にするためのスープストック

 各国の料理の特徴が一番表れるのってスープではないでしょうか。バーン・チェリーのスープストックはトリガラと野菜で取ります。野菜は大根や白菜やセロリなどの他、パクチーの根、香りの強いタイの小タマネギ、そしてニンニクを入れます。豚が入ってないのでモスリムの方にも安心で、たまにパキスタンの方、モスリムの方と結婚している日本人女性も豚骨はダメだけど…と、チェリーのスープ類を召し上がります。
 家でタイ料理を作る場合、タイ風のスープを作っておくといいわけですが、わざわざ作らなくても例えば鍋物やしゃぶしゃぶなどを夕食にしたら、そのスープにコリアンダーの根っこ、ニンニク、タマネギを入れるとタイ風になりますね。この間、たまたま固くなったセリの茎を捨てるのももったいないくてスープに入れてみたら、なんとなくタイの味っぽくなりました。もっとも日本のセリと同じものをタイで見たことはないですが。他にも香りの強い野菜をスープに入れて工夫するのも面白いかも、と思った次第です。このスープにトムヤムペースト、グリーンカレーペースト、レッドカレーペーストを入れたらすぐにタイ料理の出来上がり!お試し下さい。写真は本文に関係なく、ビエンチャンで食べたラーメン。スープが別になってました。ライムがついてくるのは珍しかったです。  


2009年06月01日 Posted by namfon at 11:00Comments(0)自分で作るタイ料理

グリーンカレーとロティのセット

 バンコクでの発見の続きです。唐辛子のピザ、グリーンカレー味のピザなどは知っていましたが、グリーンカレーとロティのセットは初めて知りました。バンコクの最先端ショッピングセンター地下レストランでタイ人の友人と待ち合わせた時に、彼らが注文したものです。バンコクにはインド人もインド料理店も多いですから、こんな組み合わせがあっても違和感はありません。これだと日本でも応用できそう。バーン・チェリーではグリーンカレーとカノムチン(ソーメン)をセットにすることはお勧めしていますが、そういえばロティもいいなあと思いました。
 今回のタイの旅で大変印象的だったのはご飯です。日本に入ってくるタイ米は香り米、あるいはジャスミンライスと呼ばれる最高級ブランドで、タイ米の中では比較的粘り気があります。チェリーでももちろんこれを使用していて、それに慣れてしまったせいか、タイで食べたお米が極端にパサパサで美味しくないと感じてしまい、タイ人の友人に話したら「だってタイ人はパサパサの方が好きだから」と言われました。それはよく言われることですが、ここまで極端だったかなと記憶をたどってみるものの、もう思い出せません。タイでは小麦粉の主食は一般的ではなかったですが、変化していくんだろうなとタイ料理店でのロティを見て感じました。  


2009年05月30日 Posted by namfon at 08:58Comments(0)タイ料理の話

初めて食べたフルーツのソムタム

 気がつくと、タイから戻ってもう2か月になろうとしています。バンコクでの初ディナーは日本から私と友人、在バンコクのタイ人3人というメンバーでした。お任せで連れて行ってもらったレストランは、いかにも地元の中間層のお店というタイプのもの。調度品や接客に配慮するよりも実質本位でいいでしょ、と言いた気な店は、タイ料理から中国風のまで豊富なメニューで価格もリーズナブルです。日本ではなかなか食べられないものを思い切り食べようと意気込んでいたのに、バンコクに着いたら何を食べたかったのか忘れてしまって、選択も任せてしまいました。それに、自分で選ぶといつも同じものばかりになりやすい。
 「ソムタム・ポラマーイはどう?」と聞かれて日本からの2人は「何それ?」。名前からフルーツのソムタムであることは分りますが、通常ソムタムといえば青パパイヤで作るものを呼ぶのではなかったか。あるいは人参のソムタムは昔からありましたが。やはり浦島太郎状態。何年か前にバンコクから遊びに来た友達に「リンゴのソムタムが流行っている」と言われたことがありましたが、同類ですね。パパイヤ以外では、ザボン、グアバなどが入っています。フルーツなのでどうしても甘めになってしまって物足りない感じではありましたが、これを見てリンゴのソムタムのイメージは沸きました。シーズンになったら試作してみたいものです。  


2009年05月29日 Posted by namfon at 20:27Comments(1)タイ料理の話

庭のミントを料理するなら“ラープ”

 庭のミントが元気です。このミントの使い道がないかなと思っている方がいたら「ラープ」をお勧めします。タイの東北地方の郷土料理の代表。辛みと酸味がきいて夏のおつまみに最高ですよ。作り方は簡単です。写真はウボンラチャタニーという、ラオスにもカンボジアにも国境を接する県に恵みをもたらすムーン川のほとりのレストランで注文した、川魚のラープですが、自分で作るなら鶏肉か豚肉が簡単で美味しくできます。
 肉をたたいて細かくします。この方がひき肉を使うよりずっと美味。それをフライパンで炒って(油は使わない)火を通します。ここにナムプラーとレモン汁と一味唐辛子と、炒って砕いた米を入れて好みの味に整える時にミントをたっぷり入れてみて下さい。本場のは唐辛子和えと呼びたい辛さですが、お好みでいかようにも。鶏肉ならレバーや砂肝も一緒に刻んで入れると、コクが出てもっと美味。以上は一番簡易な方法です。バーン・チェリーでは香りの強いタイの小型タマネギやマクルートの葉なども入れるのでさらに香りが豊かな人気メニューです。東北地方の料理は特に得意なチェリーです。ミントではなくて細ネギでもいいですし、パクチーを入れても。和風ラープとしては、刺身用の魚で作るラープもいけます。これ、在日タイ人の間で流行していました。  


2009年05月20日 Posted by namfon at 23:01Comments(0)自分で作るタイ料理

和食風盛り付けがバンコクの最先端?

 「タイ料理は日本の定食のようなセットにはせず、中華料理のように取り分けるのが普通です」と何かにつけて説明してまいりましたが、訂正すべき時がくるかもしれません。今回の旅で写真のようなセットを見た時は驚きました。バンコクの超高級デパートの地下レストランコーナーにて。まずご飯茶碗が和風です。タイではご飯はお皿盛りが普通。次にセット内容が一昔前なら考えられないものです。ソムタム(パパイヤのサラダ)、ガイヤーン(焼き鳥)、もち米という典型的な東北地方の郷土料理は、田舎料理と見下されているようなところもあって、こんなおしゃれな盛り付けとは縁遠かったはずですから。一緒に行った友人はバンコクと東京間を年に何回か行き来しているのに、2年半ぶりの私と一緒になってびっくりしていましたので、きっとごく最近の傾向なのだと思われます。
 お値段も、バンコクの労働者の1日の最低賃金と同じくらい、ということは日本だと数千円に匹敵するわけですね。これでビール1本加えたら、このデパート建設にたずさわった労働者の1日の報酬を超えるんじゃないでしょうか。味の方はかなりマイルドでした。タイでだったら、甘くするな、酸っぱくして、辛くして、等々、いつもだと注文つけ放題なのに、店の気取った雰囲気に圧倒されて忘れて何の注文もつけずじまい。「美味しかったですか」と店員さんに聞かれた時も「ちょっと甘すぎね~」と答えておきました。こういうセットを見るとライフスタイルや意識の変化を感じます。1人で食事をする人が増えたのだろうか、取り分けスタイルが不潔に感じる人が増えたんだろうか等と。そして大きいのは日本料理の影響でしょう。バンコクは日本食レストランだらけ!合理的な盛り付けをまねても不思議はないです。まだこれが主流になっているわけでもなさそうなので、一応知識としては踏まえた上で、やっぱり「ひとりでも楽しんでいただけますが、やはりタイ料理の場合は、3人くらいだといろいろ召し上がれて安上がりですよ」とお伝えすることにしましょう。  


2009年05月19日 Posted by namfon at 11:06Comments(0)タイのこと

夏のメニューにスイカジュースを加えられたら

 この間のタイ旅行ではバンコクに数日、ラオスと東北地方周りに数日という日程でした。バンコクでは友人と一緒。この方が甘党で1日に何度もジュースを飲みます。暑い国で水分補給を欠くわけにいかないので自分の水分をどうするか。終始ビールというわけにもいかず、水だけじゃ味気ない。友人につられてスイカジュースを注文しました。場所は、今やバンコクの有名観光地のウイークエンドマーケット内のエアコン付きレストラン。暑さと人いきれの中を歩きながら「昼食はエアコン付きの店にしよう」と話して探して、やっとたどり着いた店です。「スイカジュース」と友人。「スイカジュース、甘くしないでできる?」と私。「できます」と若い男性店員さん。だったらと注文後、友人と私は顔を見合わせて期待していました。長く待たされてやってきたスイカジュースを「これは甘くないのです」と店員さんが置くので、エッと、また私たちは顔を見合わせてしまいました。2人ともバンコクに暮らしていたので、こういう時にハイハイできます、と言っても実際には注文通りにしてくれない経験を何度かしているからです。
 ましてやこんな混雑時。そうは言ってもね、と思って飲んだら注文通りになっていて、疑った自分達を反省したわけですが、日本ではスイカジュースはあまり見かけないように感じます。夏の旬の時期に地産地消のお店などでは提供してくれているのでしょうか。タイですと、生のスイカジュースは普通。そういえば昔、その場で搾ってくれるみかんジュースを「砂糖入れないで」と屋台で頼んだら、ひどくしょっぱいのがきてびっくりしたことがあります。ジュースもデザートも甘いと同時に塩もかなり入れるので、砂糖に注文つけたら塩にもつけないといけないことを忘れていたのでした。この日のスイカジュースはしょっぱいこともなく美味しかったです。ただ一緒に写真に納まっているシーフードのスキの方はちょっと…、バーン・チェリーの方が美味しいなと感じました。夏のメニューにスイカジュースを加えることができたら一層タイっぽいのですが。  


2009年05月18日 Posted by namfon at 09:56Comments(0)タイの食べ物

タイの屋台料理って何でしょう

 タイ料理、あるいはタイ料理店の紹介などで「タイの屋台のような〇〇」などの記述をよく目にします。その都度、どういう意味かなと想像してみます。例えば仮にチェリーがそう紹介されたとすると「気軽に食べられる感じ」「簡単な料理が多い」からだろうか、とか。この間タイに行った時に、カンボジアとラオスに国境を接する、私の好きな町、ウボンラチャタニーに10年近くぶりに行ってみたのですが、何しろひとり旅の不便さで、夜の町をブラブラというわけにもいかず、デパート内の書店で時間をつぶしました。今回はタイ料理の本を仕入れるのも目的だったので、料理本コーナーであれこれ見ていると、「アハーン・ターム・サン(実際はタイ語ですが、このパソコンはタイ語のフォントがない)」という本がありました。「注文に応じる料理」という意味です。あえて注文に応じると名づけるのはなぜかと思って開くと、なるほど!
 タイの市場や露店には、写真のように作りおきしたおかずを売る店が多いのですが、それよりも注文に応じてその場で作った方が熱々で美味しい、という趣旨だったのです。趣旨通りに、紹介されている料理はサッと作れるお馴染みの料理ばかり。もちろん購入してきました。そこで屋台料理に戻りますが、屋台でも、あらかじめおかずを用意して、客が選ぶのをその場で出したりテイクアウトできるスタイルも、注文に応じてサササと作るスタイルもあります。前者は「カーオ・ゲーン」といいます。ぶっかけご飯のことですね。チェリーの場合は後者ですが、実はランチタイムをカーオ・ゲーンスタイルでやりたいなと考えたこともあるのです。これぞ屋台というイメージで。しかし、これは人の多い所でないと難しいですね。  


2009年05月11日 Posted by namfon at 09:33Comments(0)タイ料理の話

バンコクの超高級デパ地下のフードコート

なんと半年もご無沙汰してしまいました。パスワードも忘れてしまい、もう閉鎖されているかと思っておそるおそる開いたら、わずかながらご訪問下さる方もあり、ありがたく、再開することにしました。写真は、少し前にタイに行った時に、ホテルの朝食をのぞいて最初にバンコクで食べたご飯です。サイアム・パラゴンという超高級ショッピングセンターの地下のフードコートにて。最新のカード式になっていて、お皿もカフェ風にこんなのになっているし、店員さんはテキパキしているしで、しばらく行かないうちに変わったなあと思いました。それに、ここで選んだ野菜を食べたら未知の感触だったのも驚きで、隣にいた知らないタイ人に「これ何ですか?」と尋ねたら「パーク・メーオ」と教えてくれました。「猫野菜」という意味です。山岳民族のメオ族が作っているから、という説もありました。シャキシャキで大変美味でした。それからタケノコ炒めとスープを盛り合わせてもらって70バーツ(200円ちょっと)。このショッピングセンター、上の階は高級品ばかりで散歩コースがいいところですが、地下のこのフードコートとスーパーマーケットは素晴らしかったです。バンコクの様子と、それからラオスにも行き、タイの田舎も周ったのでまたご報告したいと思います。  


2009年05月10日 Posted by namfon at 21:08Comments(0)タイ料理の話

お坊さんに差し上げるもの

 更新が滞り気味なのにアクセスしてくださる方がいらっしゃるとはありがとうございます。実は写真を載せるのが億劫なのが停滞の一因でして、何かないかな、と探していたら2年前にタイに行った時のがありました。残念ながら観光ではなくて悲しい旅でした。知り合いのタイ人男性が仕事中の事故で突然亡くなってしまい、故郷のご両親にお骨の一部を届ける奥さまと会社の方々に同伴して、事情説明の通訳をするという役目でした。気の重たい役目でしたが、先方の家族も親族もいい方々で、また日本の会社の対応も誠実で、なんとか無事に果たすことができたのでした。この写真は、自宅で執り行われたお葬式に呼んだお坊さん方に差し上げる品々一式です。こちらのお宅では、近所の女性たちが集って竹かごにバナナの葉を巻いて品物を詰めていく手作りで珍しくて写真を撮りました。それまで私が見ていたのは、店頭でよく売られている黄色のプラスチックバケツに入ったセットでしたから。
 この時の弔いの儀式は衝撃的でした。生前、彼が日本人の奥さまに「死んだら花火になって天に行くんだ」と言っていたそうですが、本当にそのままだったからです。法要などいくつかの儀式を経て、最後に骨を叩いて砕き、それを火薬と混ぜてお坊さんが導火線に点火。パンパンパンという爆音と共にお骨は煙になって空に散りました。「花火になる」なんて冗談としか思っていなかった奥さまもこのシーンを見て生前の言葉に納得のようでした。あれからもうじき2年です。タイの家族は日本語ができず、日本の奥さまもお子さんもタイ語はできない。たった1人の孫の声を聞きたくて電話しても話すことができないご両親。お元気でいらっしゃるといいのですが。  


2008年11月02日 Posted by namfon at 22:32Comments(0)タイのこと

タイのアルコール飲料

夏こそタイ料理推奨ということでバシバシ紹介していく予定が、1か月もあいてしまってすっかり秋です。来夏をお楽しみに…なんて情けないことになって残念。さて、和食だったらちょっと紅葉をあしらう粋な演出がぴったりの季節ですが、タイの今頃は雨季の最後で洪水が一番心配な時です。チェリーのマスターの実家は米農家なのに、その米が収穫直前の大雨で水没、全滅してしまったそうで大打撃です。地震がないことを始め(チェンマイのホテルで揺れた経験はありますが)タイは自然災害の相対的には少ない国ですが、洪水の被害が全くないという年はまずないです。
 今回はチェリーのお酒の紹介です。左から、発売からまだ1、2年の、多分輸出向けかと思われるタイの米の焼酎。業者からお試しが送られてきて味見をしたらいっぺんで気に入り即導入決定。キリッとした味わいでクセがなくてなかなかいけます。次がタイワイン。去年はこのワイナリーを訪問する手はずを整えてタイに行ったのに日程調整ができなくなって断念。来年は見学のご報告をしてみたいものです。品種はシラー。こちらも割合とあっさりで、スパイシーなタイ料理と合います。そしてお馴染みのビール2種類はシンハとチャーン。以前はシンハがタイビールの代名詞みたいに市場を席捲していましたが、後発のチャーンもがんばっているみたいです。チェリーでは五分五分くらいで人気を分け合っています。タイ人でタイビールを注文する人はいなくてもっぱら日本のビールなのが面白いです。あー、メコンウイスキーを入れるのを忘れてました。お店でどうぞ。  


2008年10月25日 Posted by namfon at 22:03Comments(3)バーン・チェリー

賄い料理にしておくにはもったいない

週に2回の更新を目指していたのにこんなにご無沙汰してしまいました。こんなはずじゃなかったんですが、仕事が珍しく忙しくて更新の余裕がありませんでした。時間がたってもバーン・チェリーのメニューは変わり映えしないんですよね。季節のメニューを加えるとか、スタッフが一時帰国のタイから戻るとたいていいろいろなお土産があるのですから、それを使って1日限りのスペシャルメニューを提供するとか、何か工夫すればいいのに、と私は思うのですが、経営者じゃないし…みたいな。でも言い訳させてもらうと、メニューにないものもしょっちゅう作っているのです。写真もそうで、こちらขนมจีน(カノム・ジン)です。カノムはお菓子、ジンは中国なので直訳すると中国のお菓子という意味。タイだと路上料理の定番です。テーブルと椅子がなくても、そのへんにちょっと腰掛けて食べたり、田舎の市場の食堂なんかにも必ずあります。簡単に言うと米の細麺にスープをかけて生野菜をたっぷり載せて食べるもの。
 かけ汁の種類はいろいろでグリーンカレーをかけてもいいんですが、私は魚をつぶしてกระชาย(グラチャーイ)というショウガみたいな香辛料をたっぷり入れたスパイシーなのが一番好きです。タイ人が集まるパーティーでもたいていカノム・ジンは用意されます。なぜかというと、日本でいう細く長く生きると同じ発想で、おめでたい時の料理だからです。麺を日本のソーメンで代用しても全然問題ないですから作りやすいんですね。多めに作って友達に分けてもいいので、それぞれ特徴あるカノム・ジンをおすそ分けしていただくことはよくあります。チェリーでもグループで予約のある時などお作りしていますよ。生のモヤシとバジルとキャベツをたくさん載せてお召し上がり下さい。  


2008年09月26日 Posted by namfon at 22:10Comments(9)バーン・チェリー

政治はいずこも不透明

首相の退陣を求めて大規模デモのタイ。デモもないのに辞任の日本。なんだかどっちもどっちのような気がしないでもありませんが、治安上の問題が大きいのは前者のようで、タイ旅行は大丈夫か、という問合せをいただいたりもしています。私に聞かれても分かりませんので、あくまで経験上からの推察のみですけど、旅行者が直接この件で危険にさらされるようなことはないように感じます。私が滞在中に1度クーデターがありました。アルバイトが終わって遅い時間に戻る時、やけに道路が空いていると思ったらクーデターということが翌日に分かりました。
 軍がデモの人々に発砲して死傷者が出た1992年の事件の時は、ちょうどテレビを修理中で状況が分からず、修理店にテレビを取りに行く時にいつもの混雑がなくて不気味でした。急いでテレビをつけましたが報道統制されてました。それで様子を見に行きたいと言って周囲の大反対にあいました。ちょうど日本への一時帰国のチケットを買ってあったのですが、そんな時に飛行機に乗るのは気が進まずキャンセルしようと問い合せたらキャンセル料が高額なんですね。それでもう開き直って乗ったらガラガラで快適快適。横になって寝ちゃいました。機内で観光客が「観光どころじゃなかった」と文句を言っていました。ただ大きな流血の騒ぎはあれ以降ありません。とはいえ、今回も観光は大打撃を受けているそうです。観光立国であることを思うと、行ってあげて下さいと言いたい気もしますが、そこまで言い切れないしで、ご判断はお任せってことにしときましょう。  


2008年09月07日 Posted by namfon at 23:03Comments(2)タイのこと

代用するもの、しないもの

写真はタイのナスの一種(มะเขือเปราะ=マクアプロッ)です。実が締まっていて歯ごたえ良く生で辛いタレをつけて食べるのも美味しいですし、スープの具にもよく使います。典型的なのはグリーン・カレー。これを日本のナスで代用すると触感がかなり違いますが、夏になると在日タイ人が栽培したり、直売所でたまあに地物を見かけるようになったとはいえ、お店でたくさん使うには高価過ぎて、チェリーのグリーンカレーには、通常は日本のナスが入っています。つまりナスは代用品で諦めるかな、というところ。
 一方、代用できずに輸入品に頼っているものが何かというとหอมแดง(ホーム・デーン)というニンニクよりも小型の玉ねぎ。「ホーム」の意味は良い香りで「デーン」は赤ですから直訳すると「赤い香り」となります。名は体を表していて、これを日本の玉ねぎで代用すると料理が別物になってしまうんですね。でもこっちもとっても高コスト。普通の玉ねぎを使っているお店も多く、その気持ちは分かります。この間、野菜作りを趣味にしている方がいらして、この玉ねぎに興味をもって「ちょっと分けて」ということで2粒お持ちになりました。成功を祈っているところです。なお、赤い香りが活躍する料理の代表はลาบ(ラープ)という東北地方の郷土料理です。肉をたたいて細かくして炒ってから多彩な香辛料で和えるものでおつまみにぴったりです。  


2008年08月27日 Posted by namfon at 09:42Comments(5)食材の話題

1人用はぶっかけご飯

和食の店で定食を食べるたびに、うまくできてるなあ、と感心します。チマジマといろんなおかずがあって1人の食事にぴったり。夜だったら晩酌セットなんかがあって1人でも多彩に楽しめます。その点タイ料理は不便かもしれません。一皿の量が多いので1人では何品も食べられないし、お金もかかる。3人か4人になったらシェアして格安にいろいろ食べられるのですが…。それで日本のタイ料理店だと、何品か盛り合わせて味見ができるようにおひとり様用の工夫をしている所も多いようで、そういうリクエストも時々いただきます。でもバーン・チェリーでは相変わらずのタイスタイル。別に頑固なわけではなくて、単にタイ人がタイ人の発想でタイ料理を当たり前に提供しているということで、深い意味はないのです。でも、やはり料理の特性はあるかな、と思うこともあります。
 タイ料理は新鮮な材料で作ってすぐ食べるのが基本で、もちろん保存食もありますが、日本料理ほどではありません。和定食だったら漬物とか煮物は用意しておけるから、工夫次第で手間は合理化できると思いますが、タイ料理で定食にしようと思ったら…難しそうです。私がバンコク在住中に、日本人がタイ料理で日本の定食風ランチタイム定食を試みたことがありました。へえ、と思って行ったこともありますが、じきに閉店してしまいましたね。じゃあ、1人だとどうするか。多いのは写真のようなぶっかけご飯です。いつも1人旅の私はこういう食事ばかりですが、野菜も肉も海鮮も自由に選べるから飽きることはありません。これがクセになって、チェリーでも炒め物の残り汁をご飯にかけて食べている方、たまにいらっしゃいます。
   


2008年08月21日 Posted by namfon at 12:48Comments(0)タイの食べ物

唐辛子10本入りのバジル炒め

写真は甘いลำไย(ラムヤイ)ですが今回の話題はフルーツではなくて、辛味についてです。辛さは調節自由だということは再三お伝えしている通りなのですが、この自由が難しいことは言うまでもありません。「辛いの大好きだから辛~くして」と言われて、チェリーの基準で本気で辛くしたら手がつけられないことになったこともあり、難しいものだと思いました。反対に「辛いのは苦手」と日頃から言っている割には、何を出しても平気で食べる人がいて、それは自己認識にズレがあるでしょう、とおせっかいながら申し述べたくなります。
 つい先日のこと。「辛い料理で肉じゃないものを」と相談された方がいらっしゃいましたので、シーフードのยำ(ヤム)=酸味と辛味の強めの和え物をお勧めしました。満足気なご様子はなく、辛さが足りないよう。「もっと辛いのを」と言われたので、エビのバジル炒めをお勧めしてコックさんには「さっきのヤムは辛くないそうだから、遠慮しないでうんと辛くて大丈夫」と通しました。店内に唐辛子の匂いが漏れて咳き込む人も。見るからに辛そうなのができました。コックさんが「これを食べるのは日本人?」とびっくりしています。聞くと唐辛子を10本入れたそう。様子をうかがっていたら冷静に召し上がってらっしゃいました。タイの南部に行った時に唐辛子、それもタカノツメの中にちょっと肉があるようなのを出されて唇も胃も震えたことがありましたが、あれを再現したくなりました。タイ料理店としては、そういう方ですと、さらに作りがいがあるというもの。辛さのレベルについては、できれば唐辛子の本数でご注文いただけるといいんですが、でも唐辛子の種類によってレベルが違うので、それも難しいですね。そこまでお客様に求めるようなことはありませんのでご心配なく。  


2008年08月20日 Posted by namfon at 22:26Comments(0)バーン・チェリー

カボチャ入りタピオカのデザート

バーン・チェリー開店当初は用意していたデザート。日替わりで提供できたら楽しいだろうと試みたのですが、保存がきかないものですから今はグループでご予約いただいた場合にご希望でお作りしています。よく作るのがプチプチした感触のタピオカのお菓子ขนมสาคู(カノム・サークー)です。カノム=お菓子ですからメニューにこの言葉があったらお菓子と理解して下さい。タピオカはタイ語でサークーです。辛いタイ料理の後って甘味が欲しくなりますから、辛党の私もバンコクではたまにデザートを食べていました。種類は各種ありますが、路上でも市場でも気軽に注文できるのが写真のようなタイプ。タイですと、好きな具を2-3種類お皿に入れてもらってココナツミルクか砂糖汁かを好みでかけてもらって、好みで氷を入れたりします。具はコーンや豆や米やゼリーやタピオカや芋やカボチャなどいろいろ。
 写真はご予約いただてチェリーで作ったもので、季節の野菜カボチャを入れてみました。タピオカだけでもいいし、フルーツを入れてもいいですよ。春にはマンゴーを入れましたがほど良い酸味でなかなかでした。これ、作り方は簡単です。タピオカを透明になるまでゆでてから水洗いしてくっつかないようにします。チェリーのスタッフはタイ人なのでココナツが生でないのは大きな不満ですが、日本ではしょうがないから缶詰を利用。鍋にあけて煮て砂糖と塩で味付けしてタピオカにかけるだけ。温かいのもいいし冷やしてもいいです。小豆を入れても合いますね。
   


2008年08月13日 Posted by namfon at 20:45Comments(1)自分で作るタイ料理

タイにおける市場の位置

レストランの名前からみるタイ語その4です。千葉県のお店にタラートというのがありました。ตลาด(タラート)=市場で間違いないでしょう。日本語で「市場」でイメージするのは何でしょうか。株式市場の方が身近かもしれませんが、タイだと「いちば」の方の市場がまだまだ健在です。例えば日本だと、知らない町に行ったらまず電車の駅を探して、そこを基点に位置関係を考えたり、じゃあホテルはその辺が便利かな、飲み屋がたくさんあるかな、等イメージしていくと思いますが、タイだと市場がその役目を果たしています。
 地方都市でバスのターミナルがあったりタイスタイルのタクシーが待機しているのが市場。食料品から衣料品から雑貨から食堂から宝石店まで多種多彩なモノが集っていて、さらにバスもタクシーもあるのですから、ここさえ押さえておけば困ることはありません。よって、飛行機や電車で到着してホテルに直行してしまった場合にも、私はまずはその町のタラートに行ってみます。品揃えから町の特徴を想像できますし、美味しそうな屋台も並んでいますし不足の衣料を揃えることもできますし、お土産も買えますから。バンコクのような都市ではたくさんのタラートがあってどこを基点にするか難しいですが、小さな町だと中心になる一ヶ所に集中しています。ついでに株式市場はตลาดหุ้น(タラート・フン)。フンは株なので、市場+株。そのまんまです。  


2008年08月10日 Posted by namfon at 01:19Comments(0)タイのこと