豆下さい、身体下さい

昔昔、アメリカにホームステイしていた友達が帰国して、野菜でも何でも巨大だと驚いていたのを覚えていますが、タイで驚いたのは、何でも小さいことでした。きゅうりも白菜もナスもみんな小さい。でもインゲンは違います。長いです。50cmくらいあります。タイだと年中出回っていて、辛いタレをつけて生で食べたり辛目に炒めたり、ソムタムのようにたたいたり、辛い料理の付け合せにしたりで毎日のように食べていたものですが、日本で入手はムリと思っていたら松代のマリーさん、見事に栽培してくれました!→写真参照。正式名称はถั่วฝักยาว(トゥア・ファク・ヤーオ)。トゥア=豆、ファク=鞘、ヤーオ=長い。すなわち長サヤインゲン。
 バーン・チェリーで仕入れているのは目撃したのですが、どう料理するのかは謎。スタッフの賄い料理になってしまわないうちに興味のある方は注文してみて下さい。でも発音は気をつけて下さいね。トゥア=豆の部分は特に要注意です。カタカナ表記すると豆も身体もチケットも同じなんです。違うのは有気音か無気音かと声調。バンコク在住時に友人(男)が旅行会社に行って「チケット下さい」と言ったつもりが「身体下さい」と若い女性スタッフに向かって言って憤慨されたそうです。チェリーのスタッフでそれで怒る人はいないと思いますが、息を出してしっかり発音するのがコツです。なお、長インゲンが手に入らないと日本のインゲンを生食してます。多少生臭さが強い気はしますが同類の味です。  


2008年08月08日 Posted by namfon at 23:34Comments(0)食材の話題

夏野菜のシーズンです

長野ってタイ人が結構多いのです。県の外国人登録人口を見ていただけると分かりますが、地方都市の割には多い方。たいていが日本人と結婚している人ですね。ということは…。長野ですから配偶者はたいてい畑があります。プラス、長野在住タイ人は農村出身者が多い。イコールタイの野菜を作る、というわけで、夏はバーン・チェリーにとっては嬉しい季節です。夜になると自分で栽培した野菜を売りにタイ人たちが訪れます。新鮮なパクブン(空心菜)、パカナ、タイのナス、タイのインゲンの地場物が続々と。パクチーはもちろん。
 写真はパカナ炒めご飯ですが、このパカナも松代のマリーさんの畑が産地。中にはプランターで育てて売りに来る人もいて、チェリーのスタッフは「農薬使ってないから安全」と言っていますが、ただし、時によって太さも味もマチマチなんですね。でもこのマリーさんは、スーパーのお惣菜のアルバイトの傍ら、かなり本格的な農業を営んでいて味も良し。ご主人は日本でタイ米が作れないかと模索して、諦めたみたいですけど。実はチェリー農場を営んでそれをレストランで提供したいと当初から考えているんですが、とてもじゃないが今のところはムリ。でもタイ人ネットワークからの供給でかなりまかなえているみたいです。作り手と食べる人を結ぶのも役目。たまにフリーペーパー等で取材にいらっしゃる方が「食材はタイから空輸」などと書いて下さって、確かに日本で入手できないものはしょうがないですが、地元で入手可能なら当然地元優先です。唐辛子とニンニクを効かせた夏野菜、お勧めです!  


2008年08月07日 Posted by namfon at 23:13Comments(0)食材の話題

タイスキをなつかしんで1人用

今週土曜日(9日)の朝9時半~のabnの番組の中でバーン・チェリーが出るそうです。撮影の様子をコックさんに聞いたら「ソムタムにタイ人だったら唐辛子をいくつ入れるかと言われたから、9個か10個で作って食べたらびっくりされた」とか。タイ人だったら皆が9個も10個も唐辛子入れるってわけじゃありませんけどコックさんもなかなか役者…?。ちなみにチェリーでは「辛くしないで」で1個。フツウで2個か3個ってところです。いずれにしろタイ料理はお仕着せではなくて、食べる人の好みに合わせて作り、最後のキメは調味料セットから自分でご自由に味付けして下さい、という発想なので、何か足すことをお店への冒涜であるなんて思っていただく必要は全くありません。
 今回の写真はสุกี้(スキー)です。滑る方じゃなくて、日本のスキヤキのスキらしいのですが、似ていません。通常「タイスキ」というと日本で言うところの鍋なのですが、それを簡略化して1人で食べられる1品にしたのがこれで、バンコクではランチによく食べました。たくさんの野菜とはるさめが入って適度にお腹は膨れてヘルシー。メニューにはないのですが、スープもので重たくなくて、軽すぎず、という時にお勧めすると気に入って下さる方が多いです。飲んだ後にもいいですね。辛目のタレをお好みで入れてどうぞ。冬にフルバージョンのタイスキをメニューに加えて卓上ガスまで用意したことがあるのですが失敗でした。お客さんが多くないと材料の種類が多くて無駄になってやり切れません。素材が豊富で必ず自分の好みがあるタイスキ、なつかしいです。  


2008年08月06日 Posted by namfon at 10:40Comments(0)バーン・チェリー

星卵を載せていただくバジル炒めご飯

始めてしまったからには2個というわけにもいかず、タイレストランの店名から覚えるタイ語解説です。どれにしようかなとガイドブックをめくっていたら「ダオタイ」というのがありました。タイ語表記がないけど多分ดาวไทยに違いない。素直にカタカナにするとダーオ・タイで、ダーオが星で、それにタイ国のタイで、つまりタイの星、タイのスターです。ダーオは女の人の名前にもよくあります。料理と関係する星といえばไข่ดาว(カイ・ダーオ)ですね。カイは卵だから星卵、日本風に言うと目玉焼きです。
 目玉焼きというネーミングも傑作だと思いますが、星卵も星4つくらいあげたい情緒がたっぷりです。写真はバーン・チェリーのメニューで鶏肉のバジル炒めご飯に星卵を載せたもの。バンコクにいる時はランチにしょっちゅう食べていました。バジル炒めは結構辛目なので、それが星卵で和らいでコクがでて一層美味しいんです。食欲なくてもこれなら食べられました。鶏肉じゃなくて豚にしたりイカにしたりエビにしたりも自由。この星卵は油の中に落とすので日本風に言うと揚げ卵ですかね。黄色の目玉部分が白くなるのでどっちかっていうと星というよりも、朧月夜のお月様みたいにも思えます。
  


2008年08月03日 Posted by namfon at 18:41Comments(2)タイ料理の話

弁当とピントー

アジアンショップや雑貨屋で見かけるようになったタイ製ステンレスの重ねるタイプの持ち運び用容器。タイ語でも弁当に近い発音でปินโต(ピントー)と言います。ただ日本語で「弁当」は中身が入っていてこそですが、タイ語ですとこの容器そのものを指しますから、空っぽでもピントー。弁当と弁当箱を兼ねたのがピントーです。日本の弁当が語源という説もあるそうですが、沖縄語のビントーからじゃないかという説もあるようです。じゃあタイでこの形のピントーが一般的に使われているかというと、バンコクの会社員がこれを持ってバスに乗っている姿なんて見たことないです。どこでも食堂があって気楽に食べられますからね。
 ただ、タイの庶民の家やアパートはキッチンがない場合が多いですし、料理している時間のない人もバンコクでは多いですから外食と共に持ち帰りも盛ん。ไส่ถุง(サイ・トゥン=袋に入れて)と注文したらスープでもおかずでもご飯でも麺でも何でもビニール袋に入れてもらえます。写真はバーン・チェリーのお持ち帰り用トムヤムクンですが、こんな具合。でも実は、テイクアウトご希望の方は、ゴミ減量のためピントーをご持参いただけるとありがたいです。こちら、スープもこぼれない優れモノです。もちろんタッパーでもいいんですけど。
  


2008年07月31日 Posted by namfon at 21:49Comments(5)タイのこと

なつかしいザボンのサラダ

タイレストランの店名解説の続きです。「ソムオー」というのがありました。タイ語だとส้มโอと綴る「ザボン」のことです。バーン・チェリーのスタッフのジュンコさんのタイみやげにこのフルーツもありましたので、そのまま写真を撮ってみました。外皮をむいてあったので外見をご覧いただけませんが、手まりくらいの大きさはありますから、バッグに入れるのに不便でこんな姿で飛行機に乗せられたのだと思います。実は私の大好物で、今ごろの時期にバンコクの郊外に出ると道端に山積みで売られているのを必ず買ったものでした。
 たびたび登場するソムタムが青パパイヤを使っているのを始め、フルーツを使う料理はタイでは結構多いです。このソムオーもยำ(ヤム)にするんですね。ヤムというのはヤムウンセンとか、トムヤムのヤムで「和える」こと。メニューに「ヤム」というのがあったら強引に訳すと「サラダ」だと予測できます。バンコクでこの料理を知った時は、ソムオー愛食家として期待して注文してみたのですが、やっぱり私はそのまま食べる方がいいなと思いましたけど。このレストラン、店名になっているだけあってヤムソムオーが名物みたいです。女の子のニックネームでソムオーさんもいます。ソムさんになるともっと多い。日本なら「みかん」ちゃんです。
  


2008年07月30日 Posted by namfon at 12:48Comments(0)タイの食べ物

キュウリで簡単タイ料理

夏とタイ料理は相性抜群です。そこで、身近な材料でおウチで簡単に作れるタイ料理も紹介していきたいと思います。本日の食材はキュウリ。採れ過ぎて食べきれない方も、安売りで多めに買ってしまった方も、たくさんいただいてしまった方も、とっても簡単ですからお試し下さい。まずはキュウリを細く削っておきます。すり鉢に唐辛子とニンニクを入れてすりこぎでたたいて潰します。辛いのが苦手なら唐辛子は1本、得意ならいくらでもどうぞ。レモン汁とナンプラー(もう日本でもお馴染みですね。タイの食材店だと安いです。なんならバーン・チェリーでご相談下さい。食材店の値段でお分けできますから)と、可能ならタマリンドの汁(ムリなら入れなくても大丈夫)と、お好みで砂糖をちょっと入れて、削っておいたキュウリを入れて混ぜます。ミニトマトがあったら入れるとさらに彩り豊かで美味しいですね。
 前にご紹介したソムタムと同類の料理。タイのキュウリは日本のキュウリの3分の1位の大きさしかありませんから何個も必要ですが、日本のキュウリだったら1本で1人分間に合います。出来上がったตำแตง(タム・テーン)の食べ方としてのお勧めは、お酒のおつまみはもちろんですが、主食にするならソーメンと混ぜてみてください。唐辛子とニンニクの風味がキュウリの水分とのハーモニーを奏で、その味がツルツルのソーメンに絡まると格別なのです。これがお口に合わない方はそんなには多くないと思います。
  


2008年07月30日 Posted by namfon at 01:39Comments(2)自分で作るタイ料理

赤い表紙のタイレストランガイド

『タイレストランガイド』という本がバーン・チェリーに置いてありました。真っ赤な表紙に文字だけのシンプルなデザインも変形版もなかなかおしゃれです。チェリーでも定期購入しているタイ語新聞「ワイワイタイランド」の発行。写真入りで詳しく紹介されているのは東京のタイレストランだけですが、巻末に全国のレストランの紹介があって、長野県は14店と大奮闘。もちろんチェリーもありますよ。私が行ったことのあるのは松本市のケーラン、長野市のアロイ食堂、諏訪市のトウクトウクですが、こんなたっぷりの情報量のガイドがタイ人関連の会社から出る時代になっているんのだと感慨深いです。
 こういう本って料理を見るのも楽しいですが、店名を見るのも楽しいです。日本語の感覚と違いますし、意味は何かと興味を持ちませんか。そこでちょっと解説です。割とよくあるのが「イサーン食堂」。この本では「イーサン食堂」というのがあって表記的にはちょっと疑問(タイ語表記ないので不明もあり)なんですがอีสาน(イサーン)はタイ東北地方の俗称です。信州に在住しているタイ人はイサーン出身者が結構多く、チェリーのスタッフもオーナーとアルバイトさんがイサーンでコックさんは北部です。地方によって料理に特徴があってイサーン料理というのは田舎料理というニュアンスもありますが、広く認知されています。タイは都市と地方の格差が大変大きく、イサーンの村からバンコクやプーケットへの出稼ぎに大勢流れます。そこの労働者向けに屋台を営むのもイサーンの人。そんな背景もあるのです。いくつか店名解説しようと思ったら長くなってしまったので改めて後日。この本ご覧になりたい方はチェリーでどうぞ。
  


2008年07月26日 Posted by namfon at 13:56Comments(2)タイのこと

タイみやげのランプータン

故郷タイへ20日間くらい帰省していたバーン・チェリーのスタッフのジュンコさんが戻ってきました。おみやげはタイのフルーツ。ちょうどランチタイムに友人から「今、チェリーにいるんだけどジュンコさんからのおみやげいろいろもらっちゃった」と言っていて、それを聞いて羨んでいた私ですが、夕方にはゲットしました!写真はランプータン。タイ語ではเงาะ=ゴといいます。このゴは鼻にかけてンゴという風に発音するのがコツです。タイは5月から雨季に入り、観光シーズンとしてはオフになりますが、フルーツが美味しいのは5月から7月くらいなんですよね。遊びに行くなら気候を取るかフルーツを取るかで迷うことになりますが、フルーツ好きだったら今の季節を強くお勧めします。
 ランプータンは市場でも路上でも山積みで、売り方はキロ単位です。1キロ15バーツとか20バーツ程度だと思いますから、数十円で思う存分食べられるというわけです。タイで暮らし始めたばかりの頃は、こんな美味しいものがあるんだと感動してしょっちゅう食べていましたが、在住が長くなるともっといろいろなフルーツを知ってゴを買う回数は減ってしまいました。日本人にはマンゴスチンが人気あるみたいですが、私はああいう柔らか系よりもゴ系統が好きですね。つまり果肉がプリプリしていて歯ごたえがあるものです。実はタイからフルーツを買って帰ることは多いんですが、日本で食べてタイと同じような美味しさを感じないのです。ところが今日はパクパク食べてしまいました。この暑さはタイ並みなので南国のフルーツが似合うんでしょう。
  


2008年07月23日 Posted by namfon at 19:38Comments(2)タイの食べ物

蒸し暑くてネチネチともち米

蒸し暑い日が続きます。タイ語学習用のCDを聴いていたら「日本とタイの暑さは違う。日本は蒸し暑くて何回シャワーを浴びてもすっきりしない」という意味のくだりがありました。データ的にはタイも蒸し暑いということになっていますが、タイ人にとっては日本の方が上をいくみたいです。皮膚が汗ばんでネチャネチャする感覚はタイ語でเหียว=二ャオと言います。タイ語は中国語と同じく、でも数としてはひとつ多く5つの声調があるので猫の鳴き声の反対の二ャオですね。覚えやすいですから、蒸す日にバーン・チェリーに行ったら、まずは「ニャオ」と言ってみて下さい。通じたらタイ語の素晴らしい才能ありです。
 食べ物の名前でニャオが使われているのは「もち米」です。この言葉のもともとの意味は「粘っこい」ですから、粘っこい米=もち米=ข้าวเหนียว=カーオ・ニャオとなるわけです。カーオはご飯の意味です。タイ語は修飾する言葉がきっちりと後ろに付きます。このへんが英語や、同じ孤立語に属する中国語とも異なるところ。美人は人美、賢人は人賢、タイ料理は料理タイ、日本国は国日本、旨い料理は料理旨い、バカな人は人バカ…キリがないのでこのへんでやめときますが、整然とした順序なわけです。ところでニャオとは言うものの、タイのもち米は日本のほど粘り気がなくて軽くてさっぱりで香り豊か。ですからお餅を作るのには向きませんが主食としては美味しいです。タイの東北や北部ではこのもち米が主食。腹もちが良くてガンガン働けるという説と、腹がいっぱいになって眠くなるという説があります。どっちでしょうか、お試し下さい。
  


2008年07月22日 Posted by namfon at 01:10Comments(0)タイ語も楽しい

イエロー・カレーとは?

 タイから戻って間もなくの頃ですから10年も前ですが、新聞の広告でタイ料理店を見つけ、とうとう日本人向けの店ができたのかと喜ばしく思って早速行ってみました。するとランチメニューの中に「イエロー・カレー」というのがありました。えええ…!このカレーには辛い思い出があります。バンコクに住んでいた時に、住んでいた家の近所の人がカレーを持って来てくれました。แกงเหลือง(ゲーン・ルアン)つまりイエロー・カレーです。ただし、日本語ではゲーンのことをカレーと訳しているものの、タイ語だとスープ類はどれもゲーンですから、本当はスープと言った方がタイ料理の感覚には近いですね。それはともかく、そのカレーですが、猛烈に辛い。タイ人も驚く辛党の私もびっくりでした。作って持ってきてくれた女性はタイ南部の出身者で、それが郷土料理で、南部の料理が辛いことを知ったのはその時です。当然私の頭の中にはイエロー・カレー=恐ろしく辛いというイメージが定着しました。そのカレーが長野のタイ料理店にある…?
 疑問に思ってオーナーらしき日本人男性に尋ねてみました。「これはどういうカレーですか」って。答えは「黄色いカレーです」のみ。勇気を出して注文したところ、確かに黄色いけど辛くないのがきました。ううん、馴染みのない味。そのお店はじきになくなってしまったのでどういう料理だったのかうかがう機会は逸してしまったのですが、一般的にはイエロー・カレーはグリーン・カレーやレッド・カレーよりも辛いと思っていただいて間違いないです。黄色はขมี้น(カミン)つまりウコンの色。体に良さそうですが、あそこまで唐辛子を入れたら相殺されちゃいそうです。残念ながらバーン・チェリーの標準メニューにはないんですけどね。隠れメニューには…どうでしょうか。公式メニューにあるのはグリーン・カレーとレッド・カレー。この違いは何でしょう。よく「どっちが辛いですか」と質問されるお客さんがいらっしゃいますが、そういう問題じゃあないんですね。
  


2008年07月19日 Posted by namfon at 23:20Comments(0)タイ料理の話

食の好みで将来を占えるか

 もうずっと前になりますが、ランチタイムに1人でバーン・チェリーを訪れた男性が、お料理をとっても気に入って下さって「次は彼女を連れて来ます」と言って、当日の夜に早速カップルでいらっしゃいました。2人でカウンターに座ったのですが、彼女の方はその時点から浮かない気配を発しています。聞けば、辛いのも香草も苦手とのこと。辛さについては全く問題ありません、香草だって…問題ないと思ってタイのラーメンをお勧めしました。これだったらクセもないしあっさりで嫌う理由はないだろう、とその時は思っていたんです。実際、ラーメンを食べて気に入らない方は少ないんですが、でも、そういえばこの間は「ラーメンにセロリが入っている」と騒いでいた方もいらっしゃいましたっけ。
 少し味をみた彼女は、それっきり食べませんでした。困惑気味の彼。どうやら、スープストックを取るのに使う香草にも敏感で苦手なようでした。なるほど…当方も勉強になります。味の好みって本当に不思議ですね。私の友人にはチャーハンにニンニクを入れない人もいます。ニンニクを食べると汗が出るとか。ニンニクは常食の私には考えられない。もちろんタイ料理には欠かせない素材です。辛いのが苦手という方にタイのおかゆを勧めて失敗だったこともあります。なぜならば最後にコショウを振ったから。コショウが辛いもののうちに入るって…知りませんでした。コショウなしで出したら「美味しい」と食べてくれて良かったですが。なお、先のカップルは男性の方が彼女に気遣いするような感じでじきにお帰りになりました。味の嗜好って理屈じゃないですから、一緒に暮らして食生活を楽しむのに似ている方がいいのか、かけ離れているからこその楽しみがあるのか、お2人のその後が気になっています。
  


2008年07月19日 Posted by namfon at 10:32Comments(2)バーン・チェリー

空き地に何か植えたくなる

バンコクの中心地にある銀行ビルに浮かび上がる国旗と文字。เราร้กเมืองไทย(ラオ・ラック・ムアンタイ)と書いてあります。「我々はタイを愛する」という意味ですが、そんな固い表現ではなくて「私達はタイが好き」の方がぴったりな感じです。このムアンタイ(タイ国)の部分にอาหารไทย(アハーン・タイ)=「タイ料理」も入れたいくらいに、タイ人はタイ料理を愛しているようです。自分が慣れ親しんだ料理を好むのは当たり前とはいえ、タイの研究家の中には「食べ物ナショナリズム」なんて名付ける人もいるくらいです。だから外国に住んでいてもタイ料理が欲しくて作り、各国でタイ料理が人気になっている理由のひとつになっていると思います。在日タイ人から手作り料理をふるまわれた経験のある人も多いと思います。
 チェリーの周辺のタイ人ですが、さすがに食物への関心の高さは人一倍です。食べられる草を摘んできて米と塩で発酵させた漬物を作ったり、日本人が放置しているので崖を這い回っているカボチャの蕾と茎を見て「ナーンプリック(辛いタレ)つけて食べたら美味しいのに、なんで日本人は食べないんだ」と残念そうな顔をしたり、採った魚で発酵調味料を作ったり。ちょっと空き地があると何か植えるのも好きですね。以前に研修生の通訳である企業にうかがった時に、若いタイ人男性たちがまっ先にした質問は「寮の敷地に少し空き地がありますが、ここでタイの野菜を栽培してもいいですか」というものでした。初日の説明会の緊張した空気が和みましたね。いろいろな国の若者を受け入れている企業の方も、タイ人はたいてい弁当を作っていくと言ってました。節約というより、タイ料理が好きなんだと思います。外国旅行の時はトムヤムクンラーメンを荷物に入れる人もいます。みそ汁がないと…という日本人がまだいるとすれば似ていますね。
 
  


2008年07月17日 Posted by namfon at 17:31Comments(0)タイ人たち

パパイヤの問題

「宮崎県のパパイヤにしようか」とバーン・チェリーのスタッフが話し合っていました。宮崎県→1個何万円のマンゴーという連想に進む私は「そんな高いパパイヤでこの値段でできるの?」と疑問を呈したところ「タイのパパイヤも高くてやり切れない」ということ。「じゃあ、沖縄にすれば、その方が安くない?」と私。ただこれは未確認の、部外者によるなんとなくの想いだけ。それなのに「じゃあ沖縄にするか」で話しが終わったのはいかにもタイ人風でもあります。その場がみんなタイ人と半人前の日本人じゃあこうなりがち。宮崎県がパパイヤの販路拡大に乗り出しているようで宣伝が送られてきたのだそうです。
 それでパパイヤを使ったメニューとは何かという問題ですが、それはส้มตำ=ソムタムです。フルーツとして食べるには熟したのが年中タイにはありますが、熟さないうちは野菜みたいに料理に使います。ソムタムは東北地方の郷土料理。青パパイヤをたたいて削って細くしてミニトマトなどを加えて混ぜて酸っぱく辛くします。チェリーのオーナーもこれまでのコックさんもみんな東北地方出身なので、子供の時から作っている得意中の得意料理で、私も最も好きなタイ料理に入れたいもの。ただし通常のお店で提供しているのは都市風ソムタムで区別のために「ソムタム・タイ」としています。違いは何かというと、都市風は干しエビやピーナッツを入れてマイルドで、郷土料理の味の決め手となる小魚を発酵させた独特の調味料を使いません。私はもっぱら郷土料理の方ばっかりで「こっちも紹介すればいいのに」と提案するのですが「こんな臭いの、日本人は食べない」と思い込んでるフシもあります。実はそんなことはなくて、もっともっと強烈な沢蟹入りをリクエストする日本人のお客さんもいて、ここはどこ?って感じです。
  


2008年07月15日 Posted by namfon at 12:40Comments(2)食材の話題

フードセンターはタイ初心者の強い味方

外出が多くて2日もご無沙汰してしまいました。ネタはいくらでもあるのでがんばって書いてまいります。長野にもあったらいいのにと思う食のスタイルがこの、少々見苦しくて失礼な写真のフードセンターです。タイだったらどこにでもあるもの。写真は2年前の、タイ第二の都市である北部のチェンマイのナイトバザールの食堂です。小さなキッチンと、ショーケースを兼ねた食品保存スペースがあって、客の注文に応じて1人か2人がその場でチャチャっと作ってくれます。何が便利かというと、タイ語ができなくても食べられることと、多種多彩なのでグループで行っても各人が自分の好きなものを選べることです。タイ語ができるようになる前は、バンコクで私も頻繁に利用していましたし、このチェンマイ旅行の時も何度も通いました。
 まずはクーポンを購入します。金額は自由。1人で普通に食べるなら50バーツ(150円)でも大丈夫です。飲み物も欲しいならそれ相応にプラスして下さい。豪華にいきたいならいくらでもご自由に。後で払い戻しができますから多めに購入してもไม่มีปัญหา(マイミー パンハー)=問題ありません。クーポンを持ってブースを片っ端からのぞきます。麺の店、ご飯にかけるおかずが多種類の店、肉類が充実した店、菜食主義者の店、イスラム教徒用の店、東北地方料理の店、日本料理の店、ベトナム料理の店、デザートの店等々いろいろありますから、好みのを指差しで注文してクーポンで払います。サササと目の前で作ってくれるのを見る楽しみが済んだらテーブルに運んでいただきます。ヒイキにしていた美味しい屋台が路上から消えると「あの店、ショッピングセンターの中のフードセンターに入って評判みたいよ」なんて噂も流れていました。安くて新鮮で美味しい。食については豊かさを感じるタイです。
  


2008年07月15日 Posted by namfon at 00:51Comments(2)タイのこと

店名の意味

 バーン・チェリーのタイ語表記はบ้านเชอร๊รี่です。バーンは家の意味、チェリーはさくらんぼのチェリー。つまりチェリーの家。タイ語風に発音するとチェリィで“リィ”を強くします。日本語だとチェが強くなりますが、その逆ですね。たまに意味を尋ねる方がいます。説明を求められるのは大歓迎で、嬉しくてついつい必要以上に長々しい説明をし始めてから抑えることになります。タイのレストランの名前にはバーンがよく使われます。日本でもお母さんの味とかママ家とか、ありそう。で、父家とか父さんの味はどうかなと考えると、ちょっと思い付かないですよね。でもバンコクだと“お父さんの家”という有名なレストランもありますから機会があったらお試し下さい。
 このお店の先代がチェリーさんというニックネームを持つタイ人女性でした。現オーナーが引き継いだ時に、店名を変えて看板や諸々を変えるとその分の投資が必要で、ひいては価格にその分を反映せざるを得ないということで、そのままの名前を受け継いで今に至っているわけなのです。タイ料理を日常的に楽しんでいただきたくて、価格は最大限リーズナブルに設定しています。実を取りたい方に対しては自信をもってお勧めしますが、雰囲気重視だったら、もっとふさわしい店があるかもしれません。ニーズに合わせて選べるのが何よりです。そこまでタイ料理が普及することを願っています。


  


2008年07月12日 Posted by namfon at 01:03Comments(2)バーン・チェリー

パクチーは表面を繕う?

 タイ料理というと“辛い”と一緒にイメージされるのが“ผักชีパクチー”のようで、お客さんの中には「パクチーを入れないで下さい」とおっしゃる方と「パクチーをたくさん入れて下さい」という方が両方いらっしゃいます。このリクエストに答えるのは他より簡単。パクチーの葉っぱは、たいていが料理の上に振りかけるだけだからです。主役にはならないということですね。実は隠れて活躍しているのは根っこの方で、スープストックにもヤムのソースにも潰して使われます。たまにスープの中に根っこらしきものが紛れ込んでいたら、それはパクチーの根です。ですから「パクチーの根を入れないで下さい」というリクエストですと、スープものは難しくなりますね。
 タイに長年住んでいてもパクチーが苦手な日本人はいて、いつもいつも「マイ サイ パクチー ナ(パクチー入れないでね)」と頼んでいるのはごくろうさんって感じでした。このパクチーの用途がそのまま諺になっているので紹介します。それはผักชีโรยหน้า(パクチーローイナー)。ローイナーは美味しそうに見せるために表面に振りかけること。それで、表面だけを取り繕うとか、目先だけを飾っているぞ、という時に使います。アイツの仕事ぶりはパクチーローイナーみたいだ、という具合ですね。でもタイ人以外ではあの香りが苦手な人も多いわけですから、そうなると逆の意味にとられかねないような気もします。


  


2008年07月11日 Posted by namfon at 15:47Comments(0)食材の話題

バンコク暮らしの頻出語




 タイ語は文法が難しくないので、ちょこちょこと単語を覚えていけば旅行の時にも役立つと思います。今はBTSという高架鉄道も地下鉄も、距離は長くないとはいえ一応中心街を走っていますからダウンタウンを移動するには便利になっていますが、私が在住当時はどっちもありませんでした。つまり運河のボートという一部で可能な選択を除いては、ひたすら道路を使うしかない。極度に徒歩を嫌う人々の600万人都市で、バスだろうが車であろうがタクシーだろうがバイクタクシーだろうが乗り合いトラックだろうが何だろうが、みんな道路に繰り出すのですからすさまじい渋滞でして「世界一巨大な駐車場」と不名誉な冠をいただいても誰も文句を言えるはずありません。この渋滞をタイ語ではรถติด(ロッティッ)と言います。ロッが車でティッは「くっつく」。渋滞の様子をそのまんま言葉にしたらコレです。ロッは上に上がる調子で、ティッは逆に下る調子で発音すると通じやすいです。難しくないので覚えておくといろいろに使えますよ。
 お客さんと待ち合わせしているが課題をやっておくのが間に合わない。ええい、遅刻してしまおう。言い訳はもちろん「ロッティッ」のひと言。やましさを感じたら、その前にขอโทษ(コートーッ=ごめん)をつければもっといいです。こんな意図的な行為じゃなくてもやむを得ぬ渋滞で遅刻は日常茶飯ですから、そんなんでイライラしていたら仕事になりません。約束は午前に1件、午後に1件がいいところ。日本から来た友達とホテルで待ち合わせして楽しみにタクシーで向かったのに結局会えずじまいということもありました。渋滞で止まったまま行き着かなかったからです。でも久方ぶりにバンコクに行って地下鉄を使ったら、そんな当時の渋滞が嘘っぽく感じましたから今はビジネスも効率的になっている…かも…?
  


2008年07月10日 Posted by namfon at 14:10Comments(0)タイのこと

ラーメンの麺のいろいろと量

 タイの屋台は朝は朝食用、昼はランチ用、夜は夕食用と入れ替わることも多いのですが、時間と場所を問わずによく見かけるのはラーメンの屋台です。バンコク在住時「昔はいろんな屋台があったのにラーメンばっかりになっちゃったね、楽で稼げるからかな」と残念がる日本人の声も聞きました。日本でラーメンというと小麦粉の麺が一般的ですがタイだと米の麺が優勢でก๋วยเตี๋ยว(クイティアオ)と言います。これの太麺、細麺、極細麺のスリーサイズ用意して、さらに店によっては小麦粉の麺บะหมี่(バーミー)も置いています。ですからただ「クイティアオ下さい」と注文しても作り手はとまどいます。「細麺の汁麺」とか「極細麺の汁なし」とか具体的に言うのが正解。もっともタイ語が分からないと分かれば適当に作ってくれますけどね。
 もうひとつ大きな違いは全体の量です。日本のラーメンも今ではタイにすっかり浸透していて、チェーン展開するラーメン専門店も賑わっていますが、バンコクに登場した当初のタイ人の驚きは「日本のラーメンって量が多いねえ」でした。1人じゃあ食べきれないと言うのです。量を比較したら、タイのラーメンの2~4倍くらいはあるんじゃないかと思います。少ないとおやつ代わりにできたり、気に入ったらおかわりして食べたり、何店か食べ歩いたり、ご飯物も食べたい時には便利。日本のタイ料理店で、タイ風に少量のラーメンを今のところ見たことないです。バーン・チェリーも量は日本風で提供しています。野菜をたくさんにしてもらって、私もしょっちゅう食べてます。あっさりのクリアスープで美味しいです。
 
 
  


2008年07月09日 Posted by namfon at 15:29Comments(0)タイ料理の話

何か足したくなるタイ人の習性

 バンコクから戻って来たばかりの時、某ファミレスにタイ料理特集の旗がたなびいていたので、入ってみました。確かトムヤムクンがあって、他にも何かあったはずですが記憶が不鮮明。注文時に、タイでと同じように「辛く酸っぱくして、甘くしないで下さい」と言いました。すると店員さんがキョトンとしています。「もしや、味の調節はできないんですか」と聞いたら、できないそう。ここは日本なのでした。じゃあ、タイはどうかというと、私の場合だと「味の素入れないで、砂糖入れないで、ライムと唐辛子たくさん入れて」などと注文をつけるのが普通。味の素と砂糖を入れるなと言って「じゃあ、何を入れるんだ」と返されたこともありますけどね。うるさそうな客だと思うと「これでいいか?」と少し持ってきて試食させる人もいます。屋台なんかだと、アレコレ注文するより手っ取り早いのか自分で好みに作っちゃう人もいたり。
 バーン・チェリーはタイ人がやっている店ですから、もちろんタイスタイルです。よく「これは辛いですか」と尋ねる方がいらっしゃいますが、つい「辛さはいかようにも調節します」と言うと、逆にとまどってしまう人も多く、それも混乱の元かと思って控え気味。作る前にいろいろ注文つけた上に、作った後も、味見する前にいきなり砂糖や唐辛子や酢を大量に入れるタイ人を見ていると、作る前の注文は何だったんだと思ったりもします。味の好みはそれぞれだと思いますが、タイ料理の店だったら砂糖、唐辛子入りナムプラー、乾燥一味唐辛子、唐辛子を漬けた酢の調味料セットは必ずあるはず。しっかり味はついているんだから使わなくてもいいんですが、タイ人だと何か足すのは癖みたいですね。だから出前を頼まれて、小さなプラスチック袋に料理に合わせた必要調味料を添付するのを忘れると、あり得ない!って顔をされます。
  


2008年07月06日 Posted by namfon at 14:57Comments(0)タイ料理の話